税制改正が貸家市場に追い打ちをかけるか

過去2年間続いた貸家着工ブーム。供給過剰感が囁かれながらも昨年は全国で41万9397戸が新設され前年を上回った。本道も前年を99戸下回ったものの2年連続して2万1000戸をキープした。大票田の札幌市内は全国の約3%を占める1万2058戸が建ち、同市の全新設住宅戸数の64%に達した。

貸家の着工気運を後押し続けたのが相続税対策。特に故人が住んでいた自宅の土地をアパートや2世帯住宅などに利用する場合、その評価額が8割下がる「小規模宅地の特例」を利用して貸家を新築するケースが目立った。昨年は全道で木造在来の貸家が過去9年間で最多の6169戸も建ち、2×4を合わせると8742戸に達した。
ただ、税制改正大綱で、今年4月からその一部が見直される。

故人の配偶者は、これまでどおり特例を利用できるが、子どもは生前に同居していなければ制度の適用が難しくなるケースが増えそうだという。

これまでの特例は富裕層に甘すぎるとして、見直しを求める声もあったのは事実だが、来年度早々からとは意外の早さ。

貸家市場の冷え込みが危惧される中で、特例適用の厳格化は、少なからずマーケットにマイナス作用することになりそう。(F)