消費税率8%と10%、持家取得はどっちがお得?

安倍晋三首相は10月15日、消費税率10%への引き上げを予定通り来年10月から実施する方針を表明した。それに伴い、国土交通省は11月2日、報道発表資料の中で「消費税率引上げに伴う住宅取得支援策の広報を行う」と題し、既に決定している支援策をあらためて周知した。

支援策は消費増税後の住宅需要の落ち込みを最大限に防ぐのが目的。ただ、住宅ローン減税の控除期間延長や住宅エコポイントの復活など新たな支援策も検討されていることから、ビルダーや工務店は施主との請負契約時期や引き渡し時期について適切にアドバイスすることが求められる。つまり、来年3月末までに契約して税率8%を確保するか、4月以降に契約し、さらに10月1日以降に引き渡して10%を適用するかという選択である。

既に決まっているのは①住宅ローン減税②すまい給付金③贈与税非課税措置―の3つの支援策の拡充。

①は、前回の増税(5%→8%)時に、長期優良住宅と低炭素住宅については、控除対象となる借入限度額が従前の3000万円から5000万円に、一般住宅は2000万円から4000万円にそれぞれ引き上げられた。

②は、8%時は最大30万円の給付額が10%になると50万円に、収入の目安も510万円から775万円まで引き上げられる。

③は、質の高い住宅の非課税枠は3000万円(8%時は1200万円)、一般住宅は2500万円(同700万円)にそれぞれ拡大される。

本道の1人あたり所得水準は47都道府県中35位(15年度、内閣府調査)と低いため、借入額にもよるが、ローン減税の恩恵を十分に受けられる人は限られている。

すまい給付金も収入に応じて決まる。専用ホームページの「かんたんシミュレーション」で試算すると、年収500万円、扶養家族3人のサラリーマンの場合、8%時は30万円、10%にアップした後は50万円といずれも最高額。例えば、建物価格が2000万円の戸建住宅を取得する場合、消費税の差額は2%の40万円となるため、年収などの条件によっては、10%アップ後にマイホームを取得した方が得策となるケースも。

一方、住宅営業の最前線では激しい受注獲得競争が繰り広げられている。

地方都市では「今年は建築地が決まる前から現場見学会に来る若年層が多い」(オホーツク圏の工務店)、「昨年に比べ、見学会来場者の成約率が高い」(帯広圏の工務店)など消費増税前の駆け込み需要とみられる動きが出ている。その反面、札幌圏では胆振東部地震の影響で住宅取得を検討していた客層のマインドが冷え込んでいることもあって、駆け込み需要は期待外れの側面も。さらに、主要都市は戸建用地が不足しているため、「金銭より立地」を優先する建て主も少なくない。後々クレームにならないよう、顧客の要望を詳細に把握しておく必要がありそうだ。