〈第10回〉「ドイツ省エネ建築」最新事情

ドイツ省エネ建築、都市・地域計画コンサルタント 永井宏治 氏


発泡系断熱材からの脱却


持続可能な原料に注目


処分を待つ発泡系断熱材(写真:永井宏治)
処分を待つ発泡系断熱材(写真:永井宏治)

ここ数年、ドイツ国内では従来型の石油・発泡系断熱材から離れるユーザーが増加している。

これまで市場全体の約半数がグラスウールやロックウールといったミネラルウール系、4割程度が発泡系のEPS、XPS、ウレタン。この二派がシェアを奪い合う展開が長く続いていた。しかし、特に難燃性を重視する声が大きくなったことや、建材に限らず石油を原料とするものから脱却する思想がトレンドとなり、ミネラルウール系が強くなってきた。特に、湿式外断熱では、施工が容易でかつ安価でもある熱伝導率(λ値)0・030~0・040W/mK程度のEPSが圧倒的な強さを誇っていたが、150~200㎏/㎥の高い密度で湿式に適したミネラルウール系が、高い難燃性を差別化の武器として攻勢に出ている。

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