【新春アンケート】経営と労務の状況に関する調査

道内工務店の景況感 良好を維持

北海道住宅通信社は、昨年11月26日から12月7日まで、道内で主に新築戸建注文住宅を手掛けている工務店150社を対象に、2018年の業績や経営環境、労務状況に関するアンケート調査(無記名)を行い89社から回答を得た(回答率59.3%)。18年に一般客から受注した一戸建注文住宅戸数、粗利益率、完成工事高ともに前年より増加した工務店が多く、資金繰りも「容易」が「厳しい」を上回るなど、明るい経営環境が読み取れる一方、職人の高齢化や営業力不足に悩む姿が浮き彫りになった。回答結果を道南、道央、東北、道東の4圏域に分けて集計し分析した。

受注戸数、粗利益率など前年比増


職人の高齢化、営業力不足への不安も


1989(平成1)年から毎年、年末に行っている工務店向けアンケート調査で今回が30回目。

一戸建注文住宅の受注戸数、粗利益率、請負単価など業績に関する設問のほか、経常利益率、資金繰りなど経営上の課題、大工の賃金と年齢構成などについて聞いた。カッコ内は回答社数。

■元請として一般客から受注した一戸建注文住宅は?(89社)

「5戸以下」と回答した工務店の割合が36.4%で最も多く、「11〜15戸」20.5%、「6〜10戸」19.3%。「31戸以上」は9.1%。回答社の半数超は受注戸数が10戸以下だった。

地域別にみると「5戸以下」は全地域で回答割合が最も高いが、道南が42.1%、道東38.5%、道北37.5に対し、道央は31.4%で2位の「11〜15戸」と約11ポイント差、道北も25.0%で約12ポイント差。

「31戸以上」は道南で21.1%と高く、道北も前年8%台から12.5%にアップ。

全道の平均受注戸数は13戸。道南が16戸、道央が15戸で全道平均を上回り、道東11戸、道北10戸。

昨年の受注戸数が前年より「増えた」工務店の割合は42.2%で「減った」(25.3%)を約17ポイント上回った。「増加」が「減少」を上回るのは3年連続。「変わらない」が32.5%。

前年は「減少」が上回っていた道北は「増加」が5割になり、道央と道東も「増加」がいずれも4割を超えた。道南も3割を超え、「減少」を5ポイント以上上回った。

受注戸数が10戸以上の工務店39社のうち、「増加」は54.3%、「減少」42.9%、「変わらない」が44.4%を占める一方、10戸未満の49社は「増加」(45.7%)、「減少」(57.1%)で「減少」が11.4ポイントも上回った。

■元請として一般客から受注した一戸建注文住宅の平均粗利益率は?(81社)

1戸あたり平均粗利益率は「19〜21%未満」と回答した工務店の割合が29.6%で前年に続いて最も多く、次いで「15〜17%未満」が24.7%。「25%以上」の高収益型も14.8%。

「17〜19%未満」は11.1%、「21〜23%未満」と「23〜25%未満」がそれぞれ8.6%。

道央を除く3圏域では「19〜21%」が最も多く道北は4割超え。道央は「15〜17%」が27.3%で最も多かった。

「25%以上」が多いのは道南で22.2%を占めたが、道北はゼロ。

平均粗利益率の最高は28%(道東)、最低10%(道央)。81社の平均は19.6%で前年調査(19.5%)とほぼ同水準。

前年に比べた平均粗利益率の増減は、「増加」が27.5%を占め、「減少」(7.5%)を20ポイントも上回った。増加が減少を上回るのは4年連続。

「変わらない」(65.0%)が前年71.4%から6.4ポイント減少したが、依然、6割超。資材価格の高止まりや労賃の上昇を背景に、工程管理の効率性を高めたり、コストダウンを図るなど粗利益率を高めた工務店が多かったとみられる。