経産省 FITの調達価格公表

20年度の買取価格は21円

経済産業省は2月4日、「令和2年度の調達価格等に関する意見」を公表した。
調達価格等に関する意見は毎年1~2月ごろに経産省の調達価格等算定員会が公表している。太陽光発電をはじめ、再生エネルギーの固定買取制度(FIT)の調達価格や今後の方向性をまとめた内容。
2009年にFITが開始して以来、再生エネルギーの買取価格は年々下がっている。19年の10kWh未満の太陽光発電の調達価格は24円/kWhだった。この流れは20年も変わらず、調達価格は21円/kWhとなった。
これまで道内は出力抑制設置義務あり地域として、東京都などよりも高い調達価格だったが、20年度は地域による価格差がなくなった。調達期間は10年間。
意見の中で「需要地に近接して柔軟に設置できる住宅用太陽光発電は、需給一体型モデルの中で活用していくことが期待される」とまとめられており、住宅用太陽光発電は全量売電から自家消費を前提とした設計が求められる。FITにおいて買取価格を段階的に下げていくことで、自家消費率を高めるメリットを強める方向性で進めていくことを改めて提言した。
4月以降に新規認定案件がFIT認定を受けるためには、①30%以上の自家消費比率になる設計②自家消費計画の提出③自家消費の確認――の3点が必要になる。
現在の住宅用太陽光発電の自家消費比率の想定値を30%と定め、それを上回る自家消費計画と配電図等の確認が計画時に行われる。また、運転開始後は買取電力量から実質的な全量売電になっていないか確認されることになった。
このため、自家消費比率を満たしていないと疑われる場合は、FIT認定の取り消し等の厳格な措置もあり得る。
今回の意見について、ZEHを多く手掛ける道東の工務店の担当者は「調達価格が安くなることで、より精密なシミュレーションと丁寧な説明をしなければユーザーが太陽光発電のメリットを感じにくくなる」と指摘。別の工務店は、ZEHや太陽光発電を提案する際に、「V2Hなども活用して自家消費によるメリットをアピールしたい」と話す。