から屋 「エコブレス」省エネ型を開発

第2種と自然換気のハイブリッド制御

建築技術コンサルティングのから屋(札幌市、森田孝之社長)は、第2種換気と床下暖房を組み合わせたダクトレス全館空調システム「エコブレス」の省エネ型の開発を進めている。森田社長によると、商品開発にあたり、ノーステック財団の2019年度「札幌型環境・エネルギー技術開発支援事業」の採択を受けたことではずみがついた。

エコブレスは新築・既築問わず導入可能な空調システムで、熱源を選ばずに利用できるのが特長。寒冷地でもエアコン一台でのダクトレスによる暖房を可能にした。
第2種換気の内外圧力差は第1種換気と同程度のため、適切な気密施工と給排気経路の設計によって壁内結露のリスクを低減できるという。
ノーステック財団の支援事業に採択されたのは「強制給気と自然給気によるハイブリッド制御を備えたエコブレスの省エネ性能向上の開発」。北海道科学大学、送風機メーカーのローヤル電機(東京都)の2者と共同で研究開発に着手。現行のエコブレスよりさらに省エネ性を高めるために、第2種換気と自然換気双方の利点を生かしたハイブリット換気ユニットを試作した。

外気温に応じた給気量制御プログラムを新たに導入し、第2種換気のファン動力にかかるコスト削減と自然換気のデマンド制御による外気負荷の削減を実現した。
北海道科学大の実地検証によると、基準一次エネルギー消費量削減率は従来のシステムの28%からさらに11%の削減効果があったという。ユニット内のファンが停止しても内部の有効開口の適正化によってデマンド制御による自然換気が成立した。
自然換気による省エネメリットとハイブリッド化によるバイパス経路を用いて、PM2.5をはじめとした汚染外気のフィルター機能が十分に満たせることを実証した。
新システムは従来の第2種換気ユニットを置き換えるだけで成立するため、従来通りの保守点検で維持管理やメンテナンスができるのも特長のひとつ。
森田社長は「本システムは、一般的な熱交換換気と同等の省エネ性能を得ながらも、ダクトレス化で部材が合理化される分だけ省施工になり、保守点検の手間も大幅に削減できるメリットがある」と話す。
今後は同事業の開発で課題が浮き彫りになった、猛暑時期の冷房負荷削減に向けた給気プログラムを追加し、さらなる省エネ性能向上の開発と、システムのバイパス機能合理化によるハイブリッド機能の改良を行い、ユニット製作を担うローヤル電機とともに市場供給に向けた準備を進める。
森田氏は「今年中には販売を開始して第2種換気システムの普及を図りたい」と意気込んでいる。
問い合わせ先はから屋。電話011(827)6557。