札幌建材MAG会が勉強会

住宅の高性能化が加速

マグ・イゾベール(東京都)の取引先などで組織する札幌建材MAG会は2月13日、「住宅業界を読み解く5つのキーワード」と題した勉強会を札幌市内で開催した。
講師は同社マーケティング部ブランド・コミュニケーション課の長屋孝介氏。
長屋氏は国内の人口減について、「人口はどのビジネスでもベースになる重要なものという認識。人口と新築が減少することで住宅事業者淘汰の時代が来る」と話した。
改正建築物省エネ法や建築士の説明義務化について解説。政府の方針として、小規模住宅への説明義務、ラベリング制度、消費者への情報発信、住宅トップランナー制度などを活用し、住宅の省エネ性能の引き上げを図っている。その結果、省エネ基準適合率が上昇、説明義務により建築主の意識が変化し、市場原理により高性能化していない住宅事業者は淘汰されていくという。
長屋氏は「着工数は減少するが、住宅の高性能化は加速していくだろう」と今後を予想した。
住宅に求められるものについて、「人は人生の8割を建物の中で過ごすとされている。住宅にいる時間の累計は32年。かつては住宅を購入することがゴールだったが、現在は住宅の中で何を体験できるかが問われる」と話した。
住まいにおける快適の要素として、温熱環境を挙げた。温熱環境をコントロールするには空気温度、湿度のほか、建物の表面温度が重要になる。空気温度と湿度はエアコンなどの設備で管理できるが、表面温度は断熱と気密が密接に関係しているため、後から手を加えることが難しい。
「断熱と気密の価値を施主にどのように伝えるかが大切。快適性と持続性の両方が鍵になる」と説明した。
価値の伝え方について、プレゼンテーション能力と理解力がコミュニケーションの構成要素と説明。同じ価値のものでも伝え方によって価値が変化するという。
人を動かす伝え方ができる人には共通性がある。まず、目的・理由から話し始め、次に方法論・技術を話し、最後に具体論を話すという「ゴールデン・サークル」によるコミュニケーション手法を紹介した。
長屋氏は、「人間は感情で物事を判断する。高性能住宅の価値をいかに伝えられるか。顧客が購入に至るまでのプロセスを可視化し、各ステップで必要な情報を整理することが重要」と喚起した。