北海道住宅通信社 「標準化」テーマにセミナー

建築家の伊礼智氏が講演

北海道住宅通信社は2月12日、経営トレンドセミナー「工務店の『標準化』の進め方」を札幌市内で開催した。
第一部では伊礼智設計室(東京都)代表の伊礼智氏が、「設計の標準化から生まれる住まい」と題して講演した。伊礼氏は設計の標準化について、「特定の人にしかできない仕事を誰でもできるように作り上げたシステム」と説明。設計の標準化を施した住宅を「i‐works」と名付けた。
ファッションデザインの世界でオートクチュール(一品生産)と区別して使われるプレタポルテ(高級な既製品)を住宅に取り込んだという。実例として手掛けた住宅を紹介した。
伊礼氏は、平均的に完成度の高い住宅を手掛けるには標準化が不可欠とし、「仕事のスピードが上がり、 クレームも減少する」と話した。
第二部は柴木材店(茨城県下妻市)の柴修一郎社長が「業務の標準化」と題して講演した。
柴氏が社長を受け継いだ当時、IT化が遅れており、これまでのOB顧客を管理できていなかった。その際、システム化の必要性を強く感じたという。柴氏は「システム化の為に必ずITを使用しなければならないわけではないが、ITを使わない手はない」と考え顧客管理ソフトを独自で開発した。
しかし、複数のソフトを組み合わせて利用しており、リスク回避のため一元化とクラウド化を模索していた。その時出会ったのがダイテック(東京都)の「工務店クラウド」だった。
柴氏は「自分たちのオペレーションに固執するよりも、工務店クラウドに合わせて実務を行った方が業務の効率化を図れた」という。社内のシステム化について「できない人に合わせるのではなく、強い信念を持って根気よく取り組むことが大切」と話した。
第三部はダイテックの野村明憲常務が「クラウドによる標準化」と題して講演した。野村氏は「デジタル改革の工務店版を目指している」と説明。同社の「現場情報共有クラウド」「工務店クラウドEX」「注文・分譲住宅クラウド」について解説した。
講演の後半では、現場情報共有クラウドと工務店クラウドEXのデモンストレーションを行い、実際の使用感などを説明した。