「足踏み感」が続いた今年の道内住宅業界

2018年の道内の住宅業界を振り返ると、多くの関係者が年初に抱いていた期待は裏切られ、年間を通してモヤモヤした「足踏み感」が続いた一年だった。

本紙が昨年末、道内に営業拠点のある大手住宅会社のトップ12人にアンケートで今年の新設住宅着工戸数の予測を聞いたところ、「前年並み」が5人、「増加」7人で「減少」は一人もいなかった。利用関係別では、低層アパートが増加と減少が半々だったが、持家も減少予測がゼロだった。しかし、残念ながらその期待は外れた。

1〜10月の全道の新設住宅着工戸数は3万124戸で前年同期に比べ4.0%減少した。建て方別(一戸建、長屋建、共同建)の3項目ともマイナスとなっている。年間着工戸数が3項目も前年を下回った場合、リーマンショック後の09年以来の落ち込みとなる。

来年10月1日の消費増税に伴う駆け込み需要に期待した住宅会社も多かったが、終わってみるとほぼ例年並みの集客にとどまり、駆け込み需要を実感することはできなかった。

そもそも、安倍首相が予定通りの増税を表明したのは10月だった。国土交通省はあわてて、既に決定している増税後の住宅取得支援策をあらためて周知したが、住宅ローン減税の控除期間延長と新たなエコポイント制度が本決まりしたのは12月に入ってからだった。ばらまきとも指摘される負担軽減策に振り回され、消費者の模様眺めが続いた。結果として「増税後に建てた方が得になるケースも多い」(札幌市内の中堅ビルダー)。

今年も慢性的な職人不足が続いた。ドライバー不足による配送遅延もあって、工事を途中でストップしたままの現場も散見された。大工を社員として雇用する工務店は受注状況に見合った工程を組んだが、外部に大工工事を発注している工務店の中には工程管理に苦慮したところも多かった。

持家(注文住宅)の着工戸数が年初予想に反して伸びなかった理由の一つが宅地不足にある。道が公表した地価調査(7月1日時点)によると、道内の住宅地の平均価格は21年連続して下落したが、札幌市など主要都市では上昇地点が増えた。札幌市内は戸建用地の不足感が強まり、一次取得者層が近隣の江別市や北広島市にマイホームを求める流出現象が広がった。

住宅着工戸数が伸び悩む中で唯一、建売住宅のみが前年を上回っている。「家を買う」感覚の若年層が増えたことに加え、注文住宅を検討していたものの希望する地域に戸建用地がなく、同じ地域の建売住宅を購入するケースも多かった。

そして9月6日の胆振東部地震。マイホーム需要層はさらに模様眺めを決め込んだ。西日本豪雨の影響もあって一部の建築資材の供給が滞り、今期の売上げ見込みを下方修正する住宅会社も多かった。

さて、明年はどんな年になるだろう。消費増税前の駆け込み需要は本当に期待できないのか。住宅ローンは低金利が続くのか。不透明感を抱えたまま、2019年がスタートする。