寸言乱言(第680号)

消費増税対策の一環として、住宅ローン減税が適用される期間が現行の10年から3年間延長され13年となる案がほぼ固まった模様だ。増税後に住宅を取得した場合、11年目以降の3年間は最大で建物価格の2%分が控除(減税)され、増税による負担が実質ゼロになるという。

気を付けなければならないのは「最大」の表記である。所得税を超える額が控除されることはないので、所得の低い人ほど控除額も少ない。控除可能額が所得税を超えた分は住民税から差し引いたり、すまい給付金を支給したり、低所得者向けの負担軽減策は講じられているが効果は疑問だ。

そもそも控除期間の延長によって増税後の住宅需要の落ち込みは防ぐことができるのか。増税後の需要を喚起すればその分、増税前の駆け込みは減少する。8%と10%、どちらを選ぶか判断を迫られるだけで、負担軽減策が手厚くなったからといって住宅需要が拡大するわけではない。