寸言乱言(第674号)

「想定外」とは文字通り「想定」を超えることである。防潮堤、降水量などいずれも想定した範囲を超えて災害が発生した。想定はしていたものの自然の力がそれを上回ってしまった。

想定すらしていなかった災害もある。土砂崩れ、液状化…。地域に暮らす人たちにとってはいずれも長年生活をともにし、時には恵みを与えてくれた自然である。住居が流されることを誰が想定していただろう。

行政や企業は様々なデータを元にリスクを予測できる。しかし、一般市民は命の危険に対し、何をどのように備えればいいのか。阪神・淡路大震災を契機にハザードマップを作成する自治体は増えたが、必ずしも周知されているとはいえない。

住宅も同じことが言えるのではないか。あらかじめ予想できる不具合は多い。供給する側がプロとして事前に伝えておくことが施主の安心感につながる。「想定していませんでした」という言い訳だけはしたくない。(G)