寸言乱言(第673号)

「壁」の話。手近な辞書に「建物の外周部分、また部屋などを仕切るもの」とある。性能として防火、水密、断熱の3大要素や防音、防汚など機能性に加え、見栄えも重要。最近のモデル住宅は内壁が少なく、家族の顔の見える設計も目立つ。

また、既存住宅を活用する世界標準は、不自由さを取り除くバリアフリーから、できるだけ多くの人の利用を可能にするユニバーサルデザインへと進展しているようだ。

余談だが、福井市の福井県営陸上競技場の愛称が「9.98スタジアム」に決まり、外壁に陸上のトラックをあしらった看板がこのほど設置された。昨年9月、同競技場で陸上男子短距離の桐生祥秀選手が100mで9秒98の日本記録を出し、日本人初の「10秒の壁」を破った記録を伝えるのが狙いという。

100mをちょうど10秒で走るには、時速36㎞を出す力が必要な計算だ。所属先企業が計測した最高スピードでの1秒のピッチは4.94歩で、1歩のストライドは2.36m。10秒で約49歩になる。ストライドの広さには驚かされる。

「大きな困難や障害」を意味する「壁」もある。偉業の達成に向けた「目標」ともなり得るか。越えるためには計画、実行、検証、改善―の継続が重要なのだろう。(K)