寸言乱言(670号)

四字熟語の「適材適所」は、人の能力・特性などを正しく評価して相応しい地位・仕事につけることを意味する。語源は伝統的な日本家屋や寺社などの建築現場で、大工が木材の使い分けをしたことから来ているらしい。

パナソニック創業者の松下幸之助氏は著書「人事万華鏡―私の人の見方・育て方」の中で、「機械であれば、こんなことはない。1たす1は必ず2になる。しかし人間は組み合わせが適切であるならば、たす1が3にも5にもなり得るが、反面それを怠るとゼロにもマイナスにもなりかねない」と戒める。

松下氏はこうも助言する。「適材適所ということがよくいわれるが、(中略)人の組み合わせということを含めた広い意味に解釈して考えていくことが大切だ」と。

人員配置は業績のみならず従業員の奮起を促すか否かも左右する。語源の由来ではないが、人材を使い分けるのも経営者の腕の見せどころだろう。(K)