《ツーバイフォー工法》オープン化から50年➁

標準パネル工法の導入に注力


蓮井美津夫・日本ツーバイフォー建築協会北海道支部長


道内におけるツーバイフォー(以下、2×4)工法の現状や今後の施策等について、蓮井美津夫・日本ツーバイフォー建築協会北海道支部長に聞いた。

――私が住宅業界に入ったのは1986年、28歳の時でした。当時、2×4工法のオープン化から10年以上が経っていましたが、住宅業界ではまだ特殊な建て方と見られていました。その頃は住宅建築会社が中心メンバーだった北海道支部会員の皆さんも苦労が多かったと思います。

――2×4工法を普及するため、札幌を中心にキャラバンを行ったり、寒地実験住宅を建てたりしながら協会全体で工法の発展に尽くした結果、ようやく一般ユーザーに認知されてここまで来ました。北海道は全国の中でも2×4住宅のシェアが高い地域です。もともと北米が発祥の地なので、気候風土が似ている北海道に適した工法といえます。きちんとした仕様規定があって、断熱など性能値を明確に打ち出せたことが普及を促したと思っています。

――今、住宅市場は縮小に向かっていると言われています。しかし、職人不足や職人の高齢化など課題が多い中で、生産性の高さや施工のしやすさを考えると、2×4工法はまだまだ広がる可能性があるのではないでしょうか。最近は住宅だけでなく、店舗や福祉施設など非住宅の2×4建築物が増えてきました。それは、この工法が国産材の利用や建物の木質化といった社会のニーズに応えているからだと思います。

――2022年に「ツーバイフォー建築における国産木材活用協議会」が、日本ツーバイフォー建築協会とは別の組織として設立されました。ウッドショックがきっかけでしたが、国有林が伐採期を迎えていることもあり、協会としても国産材の活用を拡大しようという動きが活発になりました。協議会の会員は生産者からメーカー、ビルダーまで幅広く、木材需給の川上から川下まで、すべてつなぐことを目的としています。

■新たな技術開発

――現在、北海道支部の会員は正会員40社と賛助会員17社を合わせて57社です。ここ数年、増減はほとんどありませんが、会員の中には個人経営の工務店も多く、どこの業界も同じですが、後継者問題を抱えています。人材不足もますます深刻になっていく中で、協会としては生産性をさらに向上させる技術開発に取り組んでいます。
その最たるものが「パネル化」です。工場であらかじめ壁パネルに窓を付けたり、床にフローリングを張ったりして現場での作業を減らします。屋根も工場から運んできたら、そのままクレーンで駆体に設置できるようにします。2×4工法自体は変わりませんが、生産性を高めるための新たな技術開発が求められているのです。

――また、協会として「ツーバイフォー標準パネル工法」の導入を進めてきました。すでに実際の建物を使った実証実験も行われています。早ければ年内にも会員に公表できると思います。
標準パネル工法の主な特長は、壁パネルについては面材の張り方を統一し、床パネルは面材の先張り仕様を定めます。そして、屋根パネルを新設し、ビス接合だけで施工できるようにしました。図面通りに組み立てれば建物ができるので実に合理的な工法です。

■応急仮設住宅も

――2×4工法は地震に強いと言われています。その耐震性は東日本大震災をはじめ、過去に起きたさまざまな地震で立証されています。今年1月に発生した能登半島地震でも、協会が2×4住宅の被害状況について調査したところ、ほぼ損壊がなかったことが分かりました。
地震に関しては、協会として応急仮設住宅の標準仕様書の作成にも取り組んでいます。私は東日本大震災で応急仮設住宅の建築を手掛けた経験があるので、作成委員会の委員長を務めることになりました。標準仕様書があれば部材の供給も施工もスムーズに行うことができ、工期の短縮につながります。会員は全国にいるので、例えば本州で大規模な地震の被害が発生したら、四国から建築材料を運ぶことも可能です。いつも使っている標準的な材料なので相互協力があっという間にできる。これを社会貢献の一つとしてやっていきます。

――時代の変化とともに協会も進化していかなければなりません。北海道支部としては、本部と連携して、これまで以上に次世代の担い手を育てていきたいと思っています。


蓮井美津夫(はすいみつお)氏
1958(昭和33)年、登別市生まれ。北海道東海大建築学科卒。一級建築士。86年、イワクラホーム入社。02年から日本ツーバイフォー建築協会北海道支部事務局長を務め、20年にイワクラホームの代表取締役社長に就任したことを機に、同協会副会長および北海道支部長に就任。