寸言乱言(713号)

▽医療現場の破綻が懸念されている。救急搬送の受け入れ拒否や院内感染の拡大など、新型コロナウイルス問題で混乱した現場の状況が日々伝わってくる。
▽医師をはじめとする医療従事者の不足は、患者が急増したことによる相対的な現象である。ウイルス問題が終息すれば、かなりの部分は解消されるだろう。一方、建築現場の職人不足は構造的な問題である。
▽住宅需要の低迷によって、職人不足問題が一時的に潜在化しているように見える。工程の打ち合わせを電話やメールのみで行ったり、建築現場に立ち入る職人の数を減らしたりするなど感染防止対策を講じている住宅会社も多い。
▽希望的観測かもしれないが、再び住宅需要が回復すれば、職人不足は今まで以上に現場の混乱につながりかねない。そのときになって現在の経験が生かせるよう、今のうちに省力化について真剣に考えておきたいものだ。