寸言乱言(710号)

▽新型コロナウィルスに関するデマが急速に拡大した。ティッシュペーパーとトイレットペーパーがスーパーなどの店頭から姿を消したのである。
▽インターネットの普及によって、私たちは多くの情報を得られるようになった。だが、それを一方的に「受け売り」していないだろうか。得られた情報が本当に正しいかを見極める眼力は、飛び交う量が増えるほど研ぎ澄ませなければならない。
▽トイレットペーパー騒動は過去にもあった。1
973年の第一次オイルショックである。きっかけは、中東戦争によって紙製品の製造段階で使う重油の輸入が滞り、「紙が無くなる」というウワサが広まったことだった。
▽今回は「マスクと同じ原料だから」というデマがネット上で拡散したことが原因らしい。マスクは不織布で、紙製品の90%は国産であるという情報は見向きもされなかった。不安をあおる情報だけが独り歩きする社会現象は、半世紀を経ても変わらないのである。