木村建設(足寄町) 若手に技術をつなぐ取り組みも

次世代の職人たちがネットワーク

今、住宅業界の次世代の中に新しい動きがある。木村建設(足寄町)の若き経営者、木村祥悟社長(38歳)は、同世代の建築家や大工、左官工たちと一緒に、北海道の職人のプラットフォーム作りを始めている。

WEB上で広報を行い、受注の窓口を設けるもので、個人では発信できず埋もれている優秀な職人たちにスポットを当てるのが目的。若い人たちに職人の世界に興味を持ってもらうきっかけにもしたい。全道に散らばっている主要メンバーで方向性を固め、早ければ来年にスタートさせる意向だ。

その先に見据えているのは、「北海道らしい家」のブランドの確立だ。

和でも洋でもない北海道を感じさせるデザインと、寒冷地ならではの高い性能を持ち、地元の素材を使って、地元の職人たちで作り上げる。本州でも世界に出しても誇れる北海道ブランドの家を仲間たちと模索している。

木村氏は、「北海道は素材の宝庫だが、現状では活かしきれていない」と言う。「十勝のカラマツ、道央のトドマツ、道南スギなど、地域ごとに良い素材があるが、それを活かせるのは腕を持った地域の職人だけ。その職人たちを発掘したい」。

道外から著名な技術者を招いて勉強会を開く計画もある。「北海道から離れることができず、修行や技術を得ることを諦めている人がいると思う。そこにやる気のある職人志望の若手を集めたい」。

木村氏自身は京都へ宮大工の修行に行くことができたが、道内にいても高い技術を学べる環境を作ることで若手を育てていきたいと考えている。「私も上の世代に育てられたので、同じように次の世代へつなげていきたい」。こうして北海道の家作りは連綿と続いていく。