野党は自己利益より職務を優先して

2017年度補正予算案は自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数でアッサリ成立、18年度予算案の審議に入った。住宅関連補助事業の追加予算等が早々に確定したことは喜ばしいものの、野党は昨年10月に分裂した民主党だけでなく、支持率低下が著しい希望の党とも離合集散を巡り、国会審議どころではないのが実情。所属議員の多くは次の選挙で自らをいかに優位に置くかで懸命の様相。

先人曰く。「今の政党は主義というより利益を見て集まるんですから、政治上には烏合の衆です」(内田魯庵『社会百面相』)の言。民進、希望両党の統合論議を見るにつけ、「今日の政事家で政論にのみ衣食するものが幾人ありましょう」(島崎蕪村・『破戒』)など明治の世から変わらぬ政界事情を彷彿させる。

「政治家は自己の主観的欲求を集団の欲求に客観化する奇妙な才能を持っている」(立原正秋・昭和50年)ことが、野党2党の混乱の根底にありそうだ。(F)