寸言乱言(第681号)

京都・清水寺で発表された今年の漢字は大方の予想通り「災」だった。台風、洪水、地震と、とにかく災禍に見舞われた一年だった。仮設住宅で年を越す人たちにとっては一段と寒い冬である。

ところで、今年の住宅業界を表す漢字は何が相応しいだろう。筆者はあえて「崩」を選びたい。胆振東部地震による地盤崩落や家屋の崩壊だけではない。需要と供給のバランスが大きく崩れた一年だった。

基礎工事に始まる一連の職人不足は工期遅延に拍車を掛け、消費増税による駆け込み需要を見込んで仕入れた資材は在庫の山となった。

台風と洪水による被害で一部メーカーの製品供給が滞り、代替品を巡って情報戦が繰り広げられた。「あるところにはあるのに」との声がまたも嘆息交じりに聞かれた。

需給バランスは年末までにほぼ回復しそうだ。明年も不透明な市況が続くとみられるが、災害や崩壊とは無縁な一年になることを祈りたい。