WEB戦略は重要なマーケティング手法

インターネットを使って集客を増やそうとするビルダーや工務店が増えている。大手ハウスメーカーの多くは、担当者が専用フォームからの問い合わせに対応したり、ブログを更新したりするなど集客手法を確立しているが、ビルダー・工務店も、最近は若手経営者が増えたこともあって、ネットを中心としたWEB戦略の重要性に対する認識が高まっている。

総務省の「通信利用動向調査」によると、2015年末時点の全国のインターネットの利用率は83.0%で、11年末に比べ3.9ポイント上昇した。年代別にみると、20代から40代はいずれも95%以上が利用しており、利用率は4年前とほぼ変わらないが、60代は76.6%で8.9ポイント、70代も53.5%で10.9ポイントそれぞれ増えるなど高齢者のネット利用率が上昇している。

あるインターネット運営会社が事業者のホームページ開設率を地域別に調べたデータがある。関東地方が91.4%で最も多く、北海道は70.0%で6地域のうち最下位だった。住宅業界に限ると、さらに少ないと思われる。

北海道住宅通信社が道内のある地域の工務店20社に自社ホームページに対する満足度を聞いたところ、半数の10社が「あまり満足していない」または「不満」と答えた。「満足」「まあまあ満足」を合わせた10社のうち、ホームページからの集客数が「多い」と答えたのは「まあまあ多い」を合わせて5社と、半数にとどまった。

WEB戦略の専門家によると、ホームページ制作には3つの誤解があるという。

まず、「ホームページを作れば集客(閲覧)数が増える」という誤解。ネットの検索サイトで、4ページ目以降に表示されるサイトはまず見られないと言われており、上位のページに表示される対策が必要だ。

次に「集客すれば売れる」という誤解。店舗の来客数が増えただけでは売り上げが伸びないのと同様、閲覧者がどのページをどの程度見ているか「アクセス解析」が必要という。例えば、資料請求ページの閲覧数は多いのに実際の請求件数が少ないことが分かれば、その対策を講じることができる。

3つ目は「自分の会社の事業はネットに向いていない」という誤解。30代のほぼ全員がインターネットを利用している状況の中で、ホームページを持たない住宅会社は閉店しているのと同じ。この専門家は「向いていないと考える人は、どんな客層に何を見てほしいのか、目的が明確になっていないだけ」と指摘する。

住宅会社のホームページは通常、商品内容や価格のページがよく見られるが、9月6日の胆振東部地震以降、工法や構造、アフターメンテナンスの閲覧数が増えているという。それを把握していれば、自社の住宅性能や耐久性をアピールしたページを充実させ、集客数を増やすことも可能だ。

ホームページは、誰を相手にして、実際にどの程度の反響があるのか。WEB戦略は今や重要なマーケティング手法の一つとなっている。