工務店向け新春アンケート調査から

「OB客の紹介受注」が8年連続首位


経営上の課題は5年連続「職人の高齢化」


資金繰り、「容易」が過去最多に


北海道住宅通信社は、毎年11月末から12月中旬にかけて実施している道内工務店向けアンケート調査の分析結果を、翌年の1月25日号で公表している(1面、4~7面参照)。

アンケートの設問は経営、労務、技術の3つの分野に分かれており、経営と労務の2分野は毎年ほぼ同じ内容。

今回、経営に関する設問の中から、「建て主を獲得した場面」「資金繰りの状況」「経営上の課題」の3点について、過去10年間の推移を分析した。

建て主の獲得場面(複数回答)の選択肢は、①かつての建て主からの紹介②知人・親戚からの紹介③取引先からの紹介④現場見学会⑤モデルハウスへの来場者⑥住宅雑誌等による資料請求⑦インターネットからの資料請求⑧営業マンによる営業活動⑨その他――の9つ。調査では、この中から最も多い獲得場面を選んでもらっている。

2019年の調査で最も回答割合が多かったのは、「かつての建て主」と「現場見学会」でいずれも23.0%の工務店が1位に選んだ。「かつての建て主」は12年以来8年連続してトップ。紹介受注が工務店の業績を支えている現状が垣間見える。現場見学会がトップになるのは過去10年間で初めて。

次いで「モデルハウスへの来場者」(20.3%)が3年連続して3位。4位の「インターネットからの資料請求」は13.5%の工務店が1位に選んだ。10年にはわずか1.0%だったが、ネット社会の拡大とともに毎年増え続けている。

「現在の資金繰りの状況」の選択肢は、「とても厳しい」「やや厳しい」「やや容易」「かなり容易」の4つ。過去10年間はいずれも「やや容易」が最も多く、19年調査では59.3%(前年比4.6ポイント増)が「やや容易」と回答した。同年の「かなり容易」(16.0%)を合わせた「容易」の割合は75.3%(同2.0ポイント増)で、過去10年間で最も多かった。

一方、19年の「とても厳しい」は1.2%で、10年間で最も少なく、「やや厳しい」(23.5%)を合わせた「厳しい」の割合は24.7%で10年間の最低。

「経営上の課題」(複数回答)は、「職人の高齢化」が5年連続して1位。19年調査では68.3%の工務店が選んだ。18年に比べ7.8ポイント減少したものの、過去10年間で2番目に多かった。

次いで「建築資材の高騰」が43.9%で3年連続して2位。「工事管理能力不足」(34.1%)が初めて3位となり、職人不足に加え、現場管理者が足りない現状が浮き彫りになった。