寸言乱言(第679号)

札幌市が10月30日に発表した用途地域の見直し素案。住宅の建て替え促進を期待して郊外の一部地域の建蔽率を緩和するという。宅地不足が深刻化する他の道内主要都市にも同様の動きが広がることを期待したい。

だが、そもそも本道の建て替え率(再建築率、新設住宅戸数に占める建て替え住宅の割合)は全国最低水準である。国土交通省がまとめた昨年度の都道府県別の再建築率によると、本道の持家の再建築率は1・5%で島根県(1・0%)、宮崎県(1・1%)に次いで低い。

本道はマイホーム需要層の約6割を占める30歳代の大半が土地を持たない一次取得者である。親の家を二世帯住宅に建て替えるケースは他の都府県に比べ少ないといえる。親元を離れた子供が地元に戻らない地方都市ではなおさらである。

建て替えの促進は空き家対策にもつながるだけに、建蔽率の緩和以外にも建築基準法など関連法上の優遇措置が必要な時期に来ている。