記者の眼(第676号)

同級生の実家が倒壊していた。この様子をテレビ各社が全国ニュースのトップで報じた。家人は無事と聞き胸をなで下ろした。別の同期生も「全壊。だけど皆元気」。家業の農業を継いでいたが避難生活に突入。互いに携帯電話の電源不足などを気遣いつつ励まし合った。

9月6日未明の胆振東部地震の発生から1ヵ月が過ぎた。前日5日には台風21号が来襲。温帯低気圧に変わった後、札幌市内では午後9時以降に雷が頻発した。その約6時間後に起こったのが胆振中東部を震源とする大地震。道内初の震度7を記録し全道的な大停電となった。東胆振の厚真、安平、むかわ3町は筆者の古里の近隣町。10代を共に過ごした仲間もいて、人ごととは思えなかった。

業界では、大工グループが被災住宅の不具合の補修や倒壊した木造建築物の解体などのボランティアを実施。インスペクターの団体は無料で住宅相談会を開催。専門的見地による奉仕活動が被災者に感謝されていた。

被害はまだ収束していない。平穏な日常の何と貴重なことか。よりよい復興を願っている。