記者の眼(第674号)

「家をつくる」とのプロジェクト予告もあり、一体どんな家ができるのかと、ひそかに注目していた「物件」がある。若手俳優が桃太郎やかぐや姫など、日本の昔話の主人公に扮して登場する、auのテレビCМシリーズの「浦ちゃんの家」だ。

「いつも誰かが待ってる そんな場所になるといいな」「いつも誰でも立ち寄る そんな場所になるといいな」―。CМの中で、浦島太郎役を好演する俳優の桐谷健太さんが歌う「お家をつくろう」の歌詞の一節だ。

手掛けたのはシンガーソングライターの秦基博さん。秦さん自身も「『そっか、浦ちゃん、おうちを作るんだ』とauのCМを観て思っていたら、まさか、その『お家をつくろう』を作らせていただくことになりました。本当に嬉しい」とコメント。KDDIのホームページに紹介されている。

繰り返し歌われる「そんな場所になるといいな」。どんな住宅も施主の誰かを思う心が投影されている。人の役に立ち、必要とされていると思えた時、人は幸福を感じられるという。クリエーターの特権だろう。(K)