国総研 能登半島地震建築物被害調査等報告(速報)を公表

国土交通省国土技術政策総合研究所(以下、国総研)と(国研)建築研究所は11月1日、今年1月に発生した能登半島地震による建築物の被害状況と、その情報を基に分析した被害原因などについて「令和6年能登半島地震建築物被害調査等報告」の速報を公表した。木造建築物については、対象地区の建築物の被害状況を悉皆調査の情報や航空写真、建築確認台帳などの情報を基に分析した。調査結果は現在も精査中であり、数値等は暫定的なものとしている。

速報によると、新耐震基準導入以前の木造建築物の倒壊・崩壊は19.4%、新耐震基準導入以降では、2000年の接合部等の基準の明確化以前の木造建築物の倒壊・崩壊は5.4%、00年以降の木造建築物の倒壊・崩壊は0.7%(608棟のうち4棟)だった。これらは、16年の熊本地震の際に益城町において実施した悉皆調査の結果と同様の傾向を示しているという。

00年以降の木造建築物で倒壊・崩壊した4棟のうち、図面を収集できた2棟について分析したところ、いずれも壁の釣り合いの良い配置の規定を満足しておらず、かつ1棟は壁量規定を満足していないことが確認された。なお、図面を収集できなかった2棟のうち1棟は、関係者から築100年程度の住宅を00年以降に移築したものであり、壁が非常に少なかったとの情報が得られたことから、壁量規定を満足していなかったことが考えられる。残りの1棟については、現時点では明確な被害要因が確認できていない。

また、地方公共団体の補助を受けて耐震改修を行った木造建築物について、被害レベルが確認された旧耐震基準の木造建築物38棟のうち、無被害が13棟(34%)、軽微から中破までが22棟(58%)、大破が3棟(8%)であり、倒壊・崩壊した建築物は確認されなかった。今後、補強の程度を確認する必要があるが、耐震改修を行っていない旧耐震基準の木造建築物の被害割合と比べ、耐震改修により被害が軽減されたと分析している。

詳細は国総研公式ホームページ。
https://www.nilim.go.jp/lab/bcg/siryou/tnn/tnn1296.htm

同報告に関する問い合わせ先は、国総研。電話029(864)2211。